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梅若能楽学院会館でのお稽古はじめ<謡・仕舞/狂言>

2025.12.01 レポート

9月29日能楽の謡・仕舞(うたい・しまい)と狂言の2コースのお稽古が中野区の梅若能楽学院会館で始まりました。
コンクリート造りの外観からは想像しづらいかもしれませんが、能楽堂としてはめずらしく外の光が入る天窓があり、時間や季節の移ろいによって印象が変わる趣ある能舞台として知られています。

はじめに、足袋の履き方とご挨拶の仕方を教わりました。
能楽では、朝でも夜でも”こんにちは” と声をかけ合うそうです。
続いて、発表会でも使う大切な道具・扇(おうぎ)が手渡されました。開いたり閉じたりするのにもコツがあります。

先生から質問です。
「扇は紙、骨、要(かなめ)でできていて、要が支えています。人間の体にも要がありますが、どこのことだ
かわかりますか?」
みんな、ピンとこない様子。
「漢字を思い浮かべてください。ちょっと難しいかな。肉月(にくづき:部首)に要と書く”腰”です。能楽を学ぶうえでも腰が大事。腰を意識して良い姿勢で演じましょう。」

狂言コースでは「盆山(ぼんさん)」「柿山伏(かきやまぶし)」「雷(かみなり)」など人気の演目の ”型” に挑戦
音が必要なときは自分で言わねばなりません。ズカズカズカと垣根を切り壊す音、ピカーリガラガラと雷様の登場を表す音など、面白い言葉をたくさん教わりました。

謡・仕舞コースでは、能の ”歌唱と舞” を学びました。
結婚式などおめでたいシーンで披露される曲「高砂(たかさご)」を大きな声で謡ったあと、能舞台に移動して仕舞のお稽古です。基本の姿勢とすり足を教わったら、みんなで構えの練習をしました。

先生からお話がありました。
「いまから700年くらい前の室町時代に、観阿弥・世阿弥(かんあみ・ぜあみ)という人たちが形づくった能楽は、これ
まで、ほとんど形を変えずに伝わってきています。どうしてかというと、ただお芝居を観て楽しいということではなく、”上演すること”に意味があり役割があるからです。
日本には、言霊(ことだま)という言葉があり、しゃべったことが現実になるという考え方が古くからあります。
能には神様が登場する作品があり、それらはすべて”神様のおかげで世の中がこんなに良くなりました”という終わり方をします。こういった演目を繰り返し上演することによって、演じる能楽師も観るお客さんも”世の中が良くなりますように”と祈り続けてきました。」
先生が「いまもいくつかの国で紛争が起きているでしょう?」と問うと、子供たちが「あります」「ある!」と口々に国の名前をあげました。
「まだまだ能の力が必要な時代です。皆さんも世の中が良くなるよう祈りながら、半年間、お稽古を続けていただきたいと思います。」

神事芸能と呼ばれる能や狂言は、”世の中のため”に演じられる芸能です。
子供たちの表情が引きしまるようでした。


3回目のお稽古日は、ご家族の方もお稽古に挑戦できる「体験日」でした。
白足袋を履いて、子供たちと一緒に謡に挑戦したり、能舞台ですり足や仕舞の一節を教わったりしました。
狂言コースは、先生が「盆山」を披露。有名な演目からいくつかの型を体験しました。
先生からは「お子様に負けないよう、大きな声でお願いします!」と声がかかり、子供たちも楽しそう。

体験を終えたご家族からは「能舞台に立ったのは初めて。貴重な経験」「思ったよりも疲れますね、でも楽しかった」といった感想も。
おうちの方にも協力していただき、みんなで発表会までがんばりましょう。


*お稽古の様子は、公式インスタグラムでも公開しています。
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