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令和7年度「開講式」を行いました

2025.10.28 レポート

9月28日(日)、国立能楽堂にて開講式を行いました。
秋分を過ぎてもなお、夏の陽ざしを感じる晴天の日、参加者・ご家族・講師・関係者が集い、特別な「お稽古はじめ」の一日となりました。

能楽堂は厳かな空気に包まれています。
子供たちは少し緊張した表情を見せながらも、期待を胸に抱いているようでした。
式のはじめには、主催者である東京都よりご挨拶。
「プロの先生から直接ご指導いただける特別な体験。これから始まる学びと体験を通して、日本の伝統文化を知り、未来へつなげていってほしいと思います」という言葉に、子供たちは耳を傾けました。

続いて、長唄・三曲・日本舞踊・能楽の各ジャンルの紹介と、講師による実演が披露されました。
目の前で繰り広げられる迫力あるパフォーマンスに、子供たちの真剣なまなざしが向けられます。
息をのむように舞台を見つめる姿も見られ、みんなの背筋がすっと伸びていくようでした。

最後に、能楽師であり本プログラムの企画制作・運営を担う(公社)芸団協会長 の野村萬会長よりご挨拶。
狂言の人間国宝である立場も踏まえて、子供たちに次のようなエールを贈りました。

「元気に開講式に出席をしてくださり、ありがとうございます。
日本の未来を支えてくださる大事な宝である皆さんが、日本の大事な宝である伝統芸能を学んでくださる。こんな素敵な、素晴らしいことはありません。
舞台に立つときに大切なことを、ひとつだけ申します。観客には見えない足の裏や背中、後ろ姿 —— そういうものがとても大切です。たとえば、食事のときも素敵なお料理が目の前にあるけれど、見えない背中など姿勢に神経を傾けることがとても大事です。そういうことを心に留めていただきたいと思います」

そして、「先生方が一生懸命に教えてくださいますから、元気にがんばってお稽古に励んでください」と発表会での再会を約束しました。

   

野村萬会長は、毎年3月の発表会になると、約束どおり、すべての子供たちの舞台を会場の片隅から見守っています。
昨年度も国立能楽堂、浅草公会堂を訪れ、偶然、楽屋口で出会った子供たちと笑顔で言葉を交わす一幕もありました。

閉式後は、コースごとに講師と子供たちとの顔合わせの時間。
先生方からご挨拶とお稽古に対する心構えなどのお話がありました。
篠笛コースや尺八コースでは、発表会まで使う自分の楽器を先生から手渡しで受け取りました。
舞台上での凛とした姿とはまた違う、先生方のやわらかな笑顔に子供たちの緊張もほぐれ、場は和やかな空気に包まれました。

9月の終わりから、コースごとに順次お稽古が始まっています。
発表会の日まですこやかに、そして心ゆたかにお稽古を楽しんでください。


*開講式の講師によるプロ実演は次の5曲でした。

長唄「越後獅子」
唄:東音 野呂美貴 吉住小十秀 東音 守屋沙弥香
三味線:今藤政音 芳村伊十冶郎 杵屋栄日陽
小鼓:望月庸子
大鼓:藤舎千穂
太鼓:望月太津之
笛:鳳聲千晴

山田流箏曲「千鳥の曲」(三曲)
箏:山登松和
三絃:上原真佐輝

琴古流尺八本曲「鹿の遠音」(三曲)
尺八:
川瀨庸輔 清野樹盟

日本舞踊「新曲浦島」
振付:西川扇重郎 花柳智寿彦
出演:花柳吉史加 花柳九州光 花柳笹公 花柳梨道
藤蔭慧 藤間鶴熹 藤間直三 松本幸凜

唄 : 東音 守屋沙弥香 東音 横山沙永子 東音 伊藤薫子 
三味線:芳村伊十冶郎 杵屋栄日陽 今藤政音 
笛:鳳聲千晴 大鼓:梅屋巴 小鼓:藤舎千穂 太鼓:望月庸子

舞囃子 観世流「船弁慶 後」(能楽)
シテ:清水義也 
笛:八反田智子
小鼓:田邊恭資
大鼓:佃良勝
太鼓:大川典良
地謡:武田宗和 浅見重好 田口亮二 武田崇史 寺井美喜

先生方、素晴らしいデモンストレーションを披露してくださり、ありがとうございました。

(撮影:武藤奈緒美  *1枚目の能楽堂外観はスタッフ撮影)


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これから、お稽古場の様子をたくさん紹介する予定です!